多重反射・インピーダンス干渉 VSWR シミュレータ

アッテネータ固有の特性インピーダンス $Z_{att}$ と位置移動による複素ベクトル合成干渉

実論理・物理干渉エンジン駆動中

検証プリセット(一発切り替え)

多重反射・定在波合成波形キャンバス
アッテネータ(橙/茶の箱)をドラッグで動かすと、位相変化により入力VSWRが上下にうねります! Drag & Position-Phase Shift
3.0 dB
3.0 dB
50.0 $\Omega$
30.0 $\Omega$ (不整合/低) 50.0 $\Omega$ (理想整合状態) 80.0 $\Omega$ (不整合/高)
5.0:1
1.0 (理想整合) 5.0 (大きな反射) 10.0 (強烈な不整合)
波の進行速度:

多重反射・位相干渉合成の物理モデル(送信端 $x=0$ での衝突)

アッテネータ自体のインピーダンス不整合を考慮すると、送信機側に戻ってくる反射波は単一ではなく、**3つの不整合境界点から発生した反射波の「重ね合わせ(複素ベクトル合成)」**になります。各反射は往復の距離に応じた位相遅延($2\beta x$)を伴います。

① アッテネータ1の不整合反射

距離 $x_1$ で即座に反射(減衰なし)

反射電圧幅: 0.000 V
② アッテネータ2の不整合反射

距離 $x_2$ で反射(減衰器1を往復通過)

反射電圧幅: 0.000 V
③ 負荷側の不整合反射

終端で反射(減衰器1&2を全て往復通過)

反射電圧幅: 0.167 V
送信端での合成結果: アッテネータ位置をドラッグすると合成電圧が位相干渉により激しく増減します。
総合干渉反射電圧幅: 0.167 V

複素ベクトル合成・計算プロセス

Vector Sum
ステップ 1: 負荷の反射係数 $\Gamma_L$ および減衰器固有の反射係数 $\Gamma_{att}$

負荷端およびアッテネータの特性インピーダンス $Z_{att}$ から、固有反射係数(振幅比)を算出します。

ステップ 2: 各反射の入力端における伝搬位相遅延

高周波信号が各不整合点まで往復する距離 $2x$ に応じ、往復位相遅延 $2\beta x$ を複素平面上で定義します。($\beta$ は伝搬定数)

ステップ 3: 送信端における複素反射係数 $\Gamma_{in}$ のベクトル合成

3つの反射成分の実部 $X$、虚部 $Y$ を加算して合成ベクトルの長さ $|\Gamma_{in}|$ を計算します。アッテネータ位置の変動によって角度(位相)が回転し、激しい干渉が発生します。

ステップ 4: 干渉を考慮した実効入力端定在波比 $\text{VSWR}_{in}$

合成された最終的な反射係数 $|\Gamma_{in}|$ から、送信器が体験する実効的なVSWRを導きます。

インピーダンス整合の物理的解釈

負荷自体の不整合($\text{VSWR}_L = $ 5.0)に加え、アッテネータの特性インピーダンス($Z_{att} = $ 50.0 $\Omega$)がシステム基準インピーダンス $Z_0=50\ \Omega$ から乖離すると、アッテネータを動かすだけで全体のVSWRが細かくうねるように変動します。これは、アッテネータの不整合反射と負荷の反射が**位相によって打ち消し合うポイント(最良)**と、**同相で加算されるポイント(最悪)**が存在することを示しています。

アッテネータ自身の反射不整合と位相干渉

高周波回路において、「不整合点」は負荷(アンテナやアンプなど)だけではありません。挿入する減衰器(アッテネータ)そのものもインピーダンスの不整合を持っており、ここで信号の反射が起こります。これらが複数存在する場合、高周波信号は「位相干渉(多重反射)」という劇的な現象を引き起こします。

👉 1. 反射波同士の「強め合い」と「打ち消し合い」

アッテネータ1の表面で跳ね返った反射波、アッテネータ2で跳ね返った反射波、そして終端負荷で跳ね返った反射波。これらすべての反射波は、同時に送信機に向かって戻っていきます。

このとき、それぞれの波が戻ってきた時点の**「位相(波のタイミング)」**がぴったり揃っていると、波は重ね合わされて大きくなり、総合VSWRは悪化します。逆に、位相が半周期(180度)ずれていると、戻ってきた波同士が互いを相殺し合い、総合VSWRが劇的に改善します。

これが、アッテネータの物理的な配置位置をドラッグしたときに、送信端のVSWRが大きく変動する物理的理由です。

位相長(電気長)と定在波ピッチ

反射波が往復する距離が波長 $\lambda$ に対してどれくらいであるかによって位相が決まります。

波は不整合点を1往復するごとに、距離の2倍分の位相変化を受けます。そのため、アッテネータを動かすだけで、送信端への帰還反射ベクトルの「角度」が目まぐるしく回転することになります。

なぜ多重反射を抑える必要があるのか

アッテネータ自身のVSWRが悪い(固有特性インピーダンス $Z_{att}$ が $50\ \Omega$ から大きくズレているなど)場合、いくら減衰量が大きくてもアッテネータの入り口自身で大きな反射を作ってしまい、前段の回路(送信機等)を保護できません。

したがって、減衰量の多さだけでなく、アッテネータ自体の特性インピーダンスの「整合度(低VSWR性)」がいかに重要であるかが、本モデルから視覚的に実証されます。