磁気ヒステリシス曲線 (B-H Loop)

磁性体内部のミクロな磁区構造と、マクロな履歴現象を視覚的に学ぶ

物理シミュレーター v2.3
💡 観察のポイント

中央の「外部磁界 H」スライダーを左右にゆっくり動かしてください。 左側の磁区(スピン矢印)が「パチッ」と跳ねるように反転する瞬間、右側のグラフの点(磁束密度 B)が急激に上下にジャンプします。これが磁壁が不純物に引っかかりながら動く不可逆磁壁移動です。

ミクロ:磁性体内部の磁区 (Domains)

スピン数: 64 (8×8)

【状態】外部磁界 H をプラス(右向き)にすると、スピンも徐々に右に傾きます。ピン留め力(反転の障壁)を超えると、黄色いフラッシュを放って瞬時に右へ反転します。

マクロ:B-H 曲線 (Hysteresis Loop)

初期状態

【状態】横軸:外部磁界 H、縦軸:磁束密度 B。同じ H の値でも、「磁界を強めている時(下側の経路)」と「弱めている時(上側の経路)」で軌跡が異なる(履歴=ヒステリシス)様子がリアルタイムにプロットされます。

コントロールセンター

0.00 A/m
← 逆方向磁界 (-H) なし (0) 順方向磁界 (+H) →
検出される全体の磁束密度 B : 0.00 T

現在の物理状態のリアルタイム実況解説

シミュレータを動かしてみましょう。

現在の物理状態ロードマップ

B-Hループを時計回りに一周する中で、物質内では以下のステップが進行します。現在進行中のプロセスが自動的にハイライトされます。

① 初期消磁 (原点) 待機

外部磁界 H = 0, 磁束密度 B = 0。磁区は完全にバラバラな方向を向き、外部には磁力を発しません。

② 正の磁化プロセス (H > 0へ) 待機

スピンが徐々に右へ。不純物の境界(ピン留め力)を乗り越えた磁区がパチッと右へ反転していきます。

③ 飽和磁化 (Bs) 待機

全ての磁区が完全に右を向き、これ以上外部磁界を強くしても磁化が増加しない上限状態です。

④ 残留磁化 (Br) 待機

磁界を H = 0 に戻しても、一部の磁区が不純物に引っかかってそのまま残り、磁石になります。

⑤ 保磁力 (Hc) 待機

残った磁力(残留磁化)を打ち消して全体の磁束密度 B = 0 に戻すために、逆向きに加える必要がある磁界の強さです。

⑥ 負の飽和磁化 待機

全ての磁区が完全に逆方向(左向き)を向いた、反対方向の限界限界状態です。

社会を支える磁性体の使い分け

軟磁性材料(トランス、モーター、電磁石)

ループの囲む面積が小さい。これは磁界の反転に伴うエネルギー損失(ヒステリシス損)が極めて小さいことを意味し、効率的なACトランスやモーター、スイッチを切ればすぐに磁力がゼロになる電磁石に最適です。

硬磁性材料(永久磁石、磁気記憶メモリ)

保磁力 Hc と残留磁化 Br が非常に大きい。一度書き込んだ情報や、強力なネオジム磁石の磁化が外部ノイズや逆磁界によって簡単に消えないため、強力なモーターやHDD記録層に使われます。