中央のガラス状ブロックの誘電率
電磁場の変化が伝わる速度 (px/フレーム)
コイルを貫く磁界の振動速度
電界と電束の基礎概念
電気的な相互作用を説明するために、電磁気学では**電界(電場)**と**電束**という2つの異なるベクトル場を厳密に使い分けます。
1. 電界 (Electric Field) $\vec{E}$
電荷が周囲の「空間」に直接及ぼす力学的な強さを表す値。単位は $[\text{V/m}]$ または $[\text{N/C}]$ です。
真空中にポツンと存在する単一の点電荷 $q$ の周囲の電界は、クーロンの法則より以下で定義されます。
- $q$: 点電荷の電気量 $[\text{C}]$
- $r$: 電荷からの距離 $[\text{m}]$
- $\varepsilon$: 空間の**誘電率** $[\text{F/m}]$
※空間に誘電体(ガラス等)が入ると、極性分子の分極が元の電場を打ち消す向きの電界を生むため、実効的な電界は弱められます。電界の流れを可視化したものが**電気力線**です。
2. 電束密度 (Electric Flux Density) $\vec{D}$
媒質の誘電率に依存せず、**「電荷そのものからどれだけの電気の束(電束)が湧き出しているか」**のみを表す便宜的な物理量。単位は $[\text{C/m}^2]$ です。
分母から誘電率 $\varepsilon$ が完全に消えているのが特徴です。電束は真空でも極性の極めて高い物質内でも、電荷の量が同じなら常に同じ強さで空間を貫き通します。
ガウスの法則 (Gauss's Law)
電磁気学のマクスウェル方程式の第一式。任意の閉曲面 $S$ を貫いて外に湧き出る「総電束」は、その閉曲面が囲む内部の「総電荷量 $Q$」に等しくなります。
積分路(ガウス面)を対称に描くことで、複雑な導体が作る電界分布を、単なる掛け算レベルで容易に解き明かすことができます。
特殊導体が作り出す電界
ガウスの法則を利用することで、円柱や球体といった基礎的な形状の導体が生み出す電界を解明できます。紫色の「ガウス面」を有効にして観察しましょう。
■ 円柱導体 (線電荷) の電界
無限に長い、単位長さあたりの電荷密度が $\lambda$ $[\text{C/m}]$ の帯電円柱(線電荷)を考えます。
対称性から、電界は軸に垂直な放射方向のみに広がります。軸を中心とする半径 $r$、長さ $L$ の円柱状のガウス面 $S$ を配置すると、円柱の両端面は電界と直交するため、そこを貫く電束はゼロとなり、側面のみを電束が貫きます。
したがって、円柱から発生する電界は以下となります:
点電荷との違い: 点電荷は距離の2乗($1/r^2$)に反比例して急激に衰退しますが、**円柱導体では距離の1乗($1/r$)にしか反比例しません**。シミュレーターで「円柱状導体」プリセットを選択し、遠くまでしっかりと電界(矢印)が伸びていくのを確認してください。
■ 球体(球殻)導体の電界と静電遮蔽
半径 $R$ の中空球殻導体の表面に全電荷 $Q$ $[\text{C}]$ を帯電させた場合を考えます。
1. 球の外部 ($r \ge R$):
半径 $r$ の同心球面(外部ガウス面)を考えます。対称性より、球面上すべての点で電界の強さ $E$ は等しくなります。
$$E \cdot (4\pi r^2) = \frac{Q}{\varepsilon} \implies E = \frac{Q}{4\pi\varepsilon r^2}$$
これは「球の中心に全電荷が集中した点電荷」と同じ電場が作られることを意味します。
2. 球の内部 ($r < R$):
球の内側を通る半径 $r$ の内部ガウス球面を想定します。導体に与えた電気はすべて互いに反発し合って外殻表面に集まるため、**球の内部に囲まれる電気量 $Q_{\text{in}}$ はゼロ**です。
$$E \cdot (4\pi r^2) = \frac{0}{\varepsilon} \implies E = 0$$
これによって、球殻の内部には**電界が全く存在しない「静電遮蔽」**が起きます。プリセット「球体導体」を選択し、球の内側から電界線や等電位線の歪みが完全に消滅し、完璧なフラット空間(等電位かつ無電界)が作られる様子を目撃してください。
波動理論と電磁誘導
遅延ポテンシャルと放射電場
動く電荷は、光速 $c$ で変化が伝わる「遅延時間」によって、クーロン電場(速度項)のほかに加速度に依存する**「放射項(電磁波)」**を空間へちぎり出します。
放射される電場は距離 $1/r$ にしか反比例しないため、宇宙の果てまでエネルギーを乗せた「波」として伝わっていきます。
■ コイルが作る誘導電界
電荷ではなく、時間的に変化する「磁界 $\Phi$」が空間そのものをねじ曲げて生み出すのが、マクスウェル方程式第2式のファラデー電磁誘導です。
コイルを貫く磁場が変化すると、中心からの距離 $r$ に対して同心円状(渦巻き状)に電界が発生します。
- コイル内部 ($r < R$): 磁束変化量が閉曲面積に比例して増えるため、電界強度は中心からの**距離 $r$ に比例**して大きくなります。
- コイル外部 ($r \ge R$): 包み込む総磁束がコイル自身の全面積で頭打ちになるため、外に行くほど**距離 $r$ に反比例**して弱くなります。